
不妊というと自分には関係ないと思っている人がいるかもしれません。しかし、近年は晩婚化が進み子供をなかなか作らない夫婦も多くなっています。そしていざ子供が欲しいと思った時に実は不妊だったなんて事も少なくないのです。
不妊の原因は様々ありますが子供が欲しいなら治療をするしかありません。大切なことですからお金がいくらかかっても良いと考える人もいるでしょう。とは言っても現実的には大金をかけるのは実際に子供を作った後の事を考えると中々厳しい問題でもあります。治療費を抑える事ができるのであれば抑えるべきです。そこで今回は不妊治療に関する助成金の話をしたいと思います。
目次
そもそも不妊治療って?
簡単に言ってしまうと子供ができない状態を不妊と言います。子供を作ろうとして1年経ってもできないような場合は不妊を疑ってよいでしょう。正常な状態であれば1年間避妊を行っていなければおよそ9割は妊娠すると言われています。2年ではほとんど100%の夫婦が子供を授かります。治療は早いほうが良いですから早めの行動が大切です。
不妊の原因
不妊には多くの原因が可能性としてあげられます。代表的なものとしては卵巣や子宮の機能不全、ストレス等が原因となってホルモン異常が起きている等があります。また、男性側の無精子症やホルモンバランスの異常が原因であることも少なくありません。
このように原因が夫婦のどちらにあるのか、何が原因なのか調べる場所は沢山あります。そのため不妊治療には時間がかかってしまいます。
不妊治療の方法と費用
タイミング法
原因がまだはっきりしない時点での治療法になります。妊娠しやすい時にセックスすることで自然に妊娠しようというものです。簡単な調査をする程度ですので費用は1万円以下と比較的安価です。
人工授精」
排卵にあわせて濃縮処理などをした精子を注入することで妊娠しやすくする治療法です。タイミング法よりは若干妊娠しやすくなります。費用としてはおよそ1~3万円程度と若干高くなります。
体外授精
タイミング法や人工授精でも妊娠できない場合に行います。卵子を取り出して採取した精液を体外で受精させてから女性の体にもどすという方法です。妊娠率は高く4割程度の妊娠が期待できます。その代わり治療費も高額となっています。およそ30~50万円かかります。
また保険適用外のため助成金の申請をしないと全額自己負担となります。
不妊治療の助成金とは
不妊治療にはお金がかかります。現在は少子化の流れですから、国としては子供を作って欲しいのです。そこで不妊治療に助成金を出すこととなっています。実際に支払われる金額は年齢や治療方法で変化してきます。
また、基本的に助成金を受け取る事ができるのは特定不妊治療のみです。対象の治療方法を実施する場合は日本全国どこでも同様に助成金を受ける事ができます。
特定不妊治療とは
体外授精や顕微受精などの不妊治療を指します。簡単に行ってしまうと高額な費用がかかる不妊治療がこれに該当します。不妊治療の助成金は負担の大きな治療のための制度ということです。
不妊治療の助成金はどれくらいもらえるの?
助成金を受け取れる回数自体に制限があります。財源が限られますから当然ですが、それでも通年6回まで可能です。1回あたりの金額は治療内容によって違いますが最大15万円まで支給されます。不妊治療は高額になってしまいますから15万円の助成は嬉しいですね。
助成金を受け取るための条件とは
そもそも助成金を受け取るためには指定医療機関で不妊治療を行っている必要があります。また、戸籍上の夫婦でなくてはなりません。更に年間の所得が730万円以下である必要があります。より金銭的に負担が大きくなる低所得の夫婦に向けて助成金を出していると言えます。
所得の計算が微妙な場合には市役所へ問い合せて確認をしておくと良いでしょう。いざ助成金の申請をする段階になって受け取りができないとなると困りますから事前に調べる事は大切です。
不妊治療の助成金は42歳まで
不妊治療には年齢制限があります。43歳未満でないと助成金を受け取る事ができません。
元々高齢での妊娠は難しく、流産などのリスクも高まることから子供を作るという点から見ると可能性が低いという事があげられます。助成金の財源には限りがありますから年齢を制限することで若い世代の治療に資金を充てるという考えがあります。また40歳から治療を始める場合は助成金の受け取れる回数が3回までと少なくなっています。
これら助成金の年齢制限については今後も変更されていく可能性はあります。自分が制度をどう利用できるかはしっかり調べておくと良いでしょう。
助成金には2種類ある
不妊治療の助成金を出しているのは国ですが、国の助成金の他に自治体でも独自に制度を作っている場合があります。
自治体の助成金は独自のものなので内容が統一されていませんので、細かい条件などについては公式WEBサイトなどで調べるとよいでしょう。多くの場合は国の助成を受けたうえで自費で支払う分に対して助成金を出すというものです。
国と自治体の両方の助成を受けられる場合も多いですからあわせて利用できる場合は積極的に活用していきましょう。
不妊治療助成金はいつもらえるの?
助成金は治療後に申請するものになります。つまり一度全額を自分で負担してその後に申請を出して受け取りという流れです。体外授精などは場合によっては50万円ほどかかりますから資金的な余裕がないと難しいでしょう。
助成金の申請については期限が設けられています。国の助成金と自治体の助成金では申請までの期間も異なります。申請期限を過ぎてしまいますと助成金の受け取りができなくなってしまいます。忘れずに早めの申請を心がけましょう。
自治体の助成金のみを受け取れるの?
基本的には自治体の助成金は国の助成金を受けている事が前提となっています。そのため申請できる可能性は低いでしょう。
しかし、自治体の助成金は制度自体が自治体ごとに異なります。一部の自治体では国の助成金の申請をしていなくても受け取る事ができるようです。
一方だけを受け取りたいという事は少ないかもしれませんが、高齢での不妊治療などで国の助成金の受け取り回数が上限のため受けられない場合などは自治体の助成金のみ受け取れるといった事もあるようです。
何度も繰り返しますが自治体ごとに制度が違いますので、事前に問い合わせて確認しておくと良いでしょう。
不妊治療は高額療養費制度の対象外
ほとんどの不妊治療行為については高額療養費制度の対象外になっています。初診や再診に関しては保険適用範囲ですが、体外授精などは保険適用させません。高額療養費制度は保険適用範囲であることが条件ですから対象外となってしまいます。
これでは一般的な収入では高額な体外授精の費用面での負担が大きすぎます。ですから助成金制度を別途設けているわけですね。
医療費控除は可能
医療費控除とは医療費に使った金額で10万円を超える分に関しては所得から控除できるという制度です。体外授精を行った場合の医療費は高額になりますから申請して控除を受けるようにしましょう。
また、医療費控除は5年分さかのぼって申請が可能です。既に不妊治療を初めている人でも5年以内なら申請する事ができます。
不妊治療の助成金申請に必要なもの
助成金を申請するために必要なものがいくつかあります。もちろん自治体などによっては細かな部分の違いがあるでしょうが、基本的に大きく必要なものが異なることはないでしょう。
不妊治療費の領収書
当然必要になります。いくら治療にかかったのかを証明する必要があります。
薬の領収書
薬を利用した場合はそちらの領収書も必要です。これらを捨ててしまう人はあまり居ないでしょうが、いざ申請しようとした時になくしてしまっては勿体無いですから管理しておきましょう。
不妊治療日助成金医療機関の受診証明書
市によって異なってきます。お住まいの役所にお問合せ下さい。
住民票
夫婦であることの証明が必要ですから住民票を提出する必要があります。助成金制度は夫婦であることが利用の条件となっています。
健康保険書のコピー
これも当然必要です。
市税などの完納証明書
しっかりと税金を収めている必要があります。税金を収めていないのに助成金は出せませんよという事です。
不妊治療費助成金の交付申請書
助成金を申請しますよという書類です。
こうやって見てみると必要な書類はかなり多く感じますが、用意するのに1日もあれば十分準備出来ます。助成金で受け取れる金額はかなりの額になりますから面倒だと思わずにしっかり申請を行いましょう。